みなさんは「同意」という言葉を知っていますか?言葉の意味を知っていても、実際に「同意」がどんなシーンで必要になるか、イメージできていない人もいるかもしれません。しかし、相手が誰であっても、信頼を築いていく上で“同意”の確認は欠かせません。自分の意思や考えを伝えること、それと同じく相手の意思や考えを受け入れる環境を作ることはとても重要であり、日本社会ではまだ言語化される機会が少ないものの、“同意”は本来コミュニケーションの基礎であると考えています。
そこで今回「Tinder」は、日本では世代を超えて愛されている漫画に着目しました。人気のある恋愛漫画の多くは、主人公の男性の予想外の行動を「胸キュン」シーンとして描き、憧れの恋愛シチュエーションとして表現することがあります。しかし、これらの行動を現実世界に置き換えてみると、される側は違和感を感じることもあるかもしれません。Tinderでは、ケーススタディとして「漫画のなかでありがちな行動」を取り上げながら、現実世界で人と関係を深める際に大切な「同意」についてをNPO法人 mimosas(ミモザ)みたらし加奈さんと解説いたします。
①頭を撫でる
少女漫画でよく登場する「頭を撫でる」という行為は、相手を褒めるときなどに何気なく描かれているシチュエーションです。リアルな場でもよく見かける、ついやってしまいがちなこの行為、注意するポイントは?
②腕を引っ張る
相手を引き止めるときなどによく登場する「突然腕を引っ張る」という行為。実際には、腕を引っ張るだけでなく、突然手を繋ぐという行為も多く見られます。さりげなく手を繋がれ、引き寄せられる行為は、脈ありのサインとして活用されることが多いスキンシップの1つ。しかし、現実世界ではどうでしょうか?
③バックハグ
少女漫画で登場する「バックハグ」という行為は、向き合ってするハグとは異なり、ロマンチックに感じる女性が多いのではないでしょうか。前述の「突然腕を引っ張る」のように、相手を引き止めるときにも登場するこの行為、注意するポイントは?!
④いきなりキスをする
「いきなりキスをする」という行為は、少女漫画だけでなく、ドラマのワンシーンとしてもよく登場します。例えば、「二人でバス停で待っていて、バスが来た時に、いきなりキス」や「夜景などのロマンチックなシチュエーションの時に、いきなりキス」というような、不意打ちのスキンシップが、胸キュンシーンとして描写されています。デートや恋愛で、パートナーともっと親密になりたいと思うのはごく当たり前のこと。意識するべきポイントは?
臨床心理士 みたらし加奈さんからアドバイス!
現実世界でこれらの行為を同意なしにおこなうのはNGです。いくら好意があったとしても、人それぞれ触れられたくない場所やタイミングがあります。そのため、相手の身体に触れるときは必ず意思の確認をしましょう。仮に頭を撫でることにOKをしたとしても、キスやハグをされたいかは別の話。あなたの身体はあなただけのものだからこそ、お互いにどのタイミングであってもNOを伝えていいのです。その先の関係性を築いていきたいのであれば、言葉での意思疎通は必要になってきます。相手を尊重し合うコミュニケーションを心がけることが大切です。
自分が行動をしたいときは...?
頭を撫でることについては、ヘアセットをしているかどうか、またそもそも頭を撫でられることが好きかどうか確認することも必要です。その行為をする直前に聞くことも大切ですが、もしもそれができなければ事前にさりげなく確認してみましょう。 例えば「頭撫でられることってどう思う?」などの会話があったうえでの、直前の確認だとスムーズではあります。 関係性があれば、確認は口頭でなくとも、頭を撫でる仕草などのジェスチャーでも確認は取れるかもしれません。
注意するべきポイント
ただ注意して欲しいのは、相手の身体が硬直していたり、表情が固くなっている場合はNOのサインかもしれません。そのあたりも汲み取ってみてください。 キスやハグに関しては、相手のバウンダリーを深く飛び越えてしまう行為です。同意なくそれをおこなった場合、それは相手を傷つける行為となります。そのため、しっかりと意思を確認する必要があります。 こちらに関しては、すでに相手から口頭で好意を伝えられている場合と、相手の好意が不明瞭な場合で、同意の確認の仕方も違います。「いい感じかも」は同意にはなりません。 前者の場合は「キスしてもいい?」「触れてもいいかな?」という言葉を伝えたとしても、関係性としてはおかしいことではありません。ただ関係性ができていたとしても、他者との身体接触が苦手な方もいます。前述したように相手の身体が固まっていたり、顔を背ける、距離を取られるようなことがあればNOのサインかもしれません。その場合は「まだそのタイミングじゃないかな」など、聞いてみてください。 後者の場合は、まずは相手の気持ちや好意を確認しましょう。そのステップに合意があったうえで、キスやハグの段階になります。
相手の行動が嫌だと感じた時はどうすればいい?
「嫌だった」と伝える以外にも、顔の表情や体の仕草で「嫌だ」を伝える方法もあります。眉間に皺を寄せるだけではなく、執拗に髪を直す仕草をしたり、顔を背ける、体を屈めることも拒否感の表現にはつながります。 ただもしものことがあった時のために、不快感を言葉で残したり、伝えることも重要です。相手との関係性にもよりますが、「あまりいい気持ちがしなかった」「ヘアセットが崩れるから、頭は触らないで」などの伝え方でもいいかもしれません。
安心・安全にオンラインデーティングを楽しむためのTinder活用方法
Tinderは、デーティングプラットフォームを提供する側の責任として、ユーザーの教育にも力を入れています。2023年には専門機関と連携し、「Safe Dating Guide」というサイトを制作しました。オンラインとオフラインで安全に出会い、デートするためのヒント、守るべきルールやマナー、Tinderの安全機能、あらゆる関係における同意の尊重の重要性などを紹介しています。また、Tinderではユーザーが安心してアプリを利用できるように、日々安全機能のアップデートを行っています。例えば、不適切なコンテンツの報告をユーザーに頼るだけでなく、事前にそれを検出するための「迷惑メッセージ防止機能」や、不快なメッセージを受け取った時に報告することができる「報告機能」も実装しています。
Tinderが考える「同意」について
Tinderでは、デートや恋愛において、信頼関係を深める上で欠かせないコミュニケーション“同意”について考えることができる、オリジナルサイト「Let’s Talk Consent」(レッツ・トーク・コンセント)を2022年4月に公開。
人々に多様な出会いや新しいつながりを提供する世界最大級のマッチングアプリとして、ユーザーの半数を占める若い世代に対し、“同意”というテーマについて考えるきっかけになればとの思いからこのサイトを立ち上げました。NPO法人 mimosas(ミモザ)監修のもと、“同意”に関する基礎知識のほか、“同意”を確認する側と 伝える側、それぞれの立場が考慮すべきポイントなどをまとめています。また、日常生活の中で、“同意”に関する行動で疑問を感じた際に、解決のヒントとなるような情報を掲載しています。
このようなTinderの使い方や基礎機能、Tinderがこれまで発信してきた情報を一つに集約したオンラインリソース「SWIPE SCHOOL」も制作。デーティングとマッチングアプリの使用を開始する際に参照できるようになっています。Tinderは、マッチングアプリの利用が定着している現代だからこそ、マッチングアプリを利用するユーザーのリテラシーを高めていくことが重要だと考えています。
サイト名 :「Let’s Talk Consent」(レッツ・トーク・コンセント)
URL : https://letstalkconsent.jp/
公開日 :2022年4月4日(月)
監修 : NPO法人 mimosas(ミモザ)
メディアの運営および性的合意の文化形成、メッセージ発信のために設立され
た、営利を目的としない団体。有志で集まったメンバー10人ほどで運営してお
り、メディアの立ち上げ経験者や、ライター、デザイナー、そして監修の弁護
士、臨床心理士/公認心理師と共にコンテンツを製作。
https://mimosas.jp/
イラスト : ともわか イラストレーター。
愛媛県出身、関西在住。 出版や広告、パッケージイラストをはじめ、MVイラ
スト、アパレルブランドとのコラボなど、 幅広い分野でイラストを手掛ける。 https://www.instagram.com/tmwk24/